Fuluka’s blog

音楽、映画、料理、旅について書いています。みんな読んでみてね。

泥酔ドラマ「無脳シリーズ」第3話〜ハッシュタグ・ナンバーワン!〜

  マリは、20代のはじめの頃、奥日光に旅行に行った。一緒に行った男性の顔は、もう覚えていない。いや、覚えている、けど、名前は確か、アオイ、いや、イチト。彼は確か、フォルクスワーゲンの赤、チェスターコートの紺、風邪をひいた時は鍋焼きうどん、ほうれん草の緑、でも、色々混ざっている。掴みどころがない。誰も彼も、掴みどころがない。マリは急に不安になる。
  咄嗟にブロンを10錠ほど飲むと、少し落ち着いた。でもこれはプラシーボ、きっと心の奥底で泣き喚いている私の口に、ガムテープを貼るだけ。そう。それはブロンに限らず、誰と遊んでも、刺激的な恋をしても、結局本当の私の口に、ガムテープを貼るだけ。本質的には、なにも解決しない。不変な日常。盛者必衰なんて、誰が言ったのか。マリは持ち前のネガティヴを存分に発揮し、その沼に溺れていく。息ができない。光も見えない。と、錯覚する。酩酊する。